日記

職場のバカンス閉鎖も半分が過ぎたが、相変わらずうちのまわりをウロウロする生活だ。セーヌ川の北側が遠い。ようやく、銀行口座ができたらしいが、担当者がバカンスに入ったので、カードを受け取れないことになっていた。メールを送ったら自動返信が返ってきたので、それがわかった(彼女はバカンスとは書いていなかったけど)。今朝、他の人がメールをくれて、代わりにカードを渡してくれることになった。フランスなのに自発的に融通をきかせてくれて驚いた。バカンス中の担当者の彼女は、嫌な顔をせず、がんばって英語を話してくれる。ありがたいこと、この上ない。他の人はどうだろうか。少なくとも、メールはフランス語だった。不安である。

http://picasaweb.google.com/atz.togo/Paris5Aug2009#slideshow/5366546532976871778

今日は体調が思わしくなく、仕事が進んだ。いま書いている論文が50%まで来た。ひととおりこの論文を書いたら、それを共同研究者へ送って、一度寝かせる。発酵したころに取り出して、もう一度内容を見つめなおす予定。開発を進めている科学計算のプログラムは、近似手法に問題があるかもしれないことがわかった(と共同研究者から連絡があった)。シンプルな具体例を紙と鉛筆で解いて、頭を整理してみようと思っている。運が良ければ問題点が明かになるはずだ。

大学や研究所で、コンピュータシミュレーションをするとき、スーパーコンピュータを使う場合や、パソコン屋でパソコンをいっぱい買ってきて、自分でシミュレーション用のクラスタを作る場合があると思う(他の場合もある、DELLを使うとか)。スーパーコンピュータが必要なシミュレーションが、いったいどれほどあるのだろうか。スーパーコンピュータといっても、数年もすれば、その辺のパソコンより遅くなるわけだし、研究には数年かかる場合もある。中規模(規模の定義は難しいが)の計算なら、自作クラスタでも十分だろうし、毎年(もしくは半年毎に)買い換えることを前提とすれば、単純な比較はできないにしろ感覚的には、スループットでさえも自作クラスタは負けないと思う。少なくともコストパフォーマンスは、自作クラスタのほうが圧倒的に良い。使い勝手もよいかもしれない(シンプルに作れる分、ずっと良いと僕は思っている)。その辺で売っているパソコンパーツからクラスタを自作するには、ハードウエアの組み立て、というよりもソフトウエア群の構築方法に知識が必要だ。パソコン数台ならば、材料もランニングコストも安いので、知識があれば作ることができる。しかし、これができない人もいる。シミュレーションの専門家が、研究の道具の作り方を知らないのは、実験の専門家が、実験装置の仕組みを知らないことと同じだ。前者も後者も、研究者的には、いまは普通なんだと思うけど、それはおかしいと思う。研究者が自分の研究に使っている道具の仕組みを知らない、というのは、研究の外の世界の人(パン屋のおじさんとか)の視点でみれば、もう研究者失格!ということになるだろう。そう思いませんか?