奥さんが現れる(お母さんでもいい)。部屋がちらかっているの指摘される。そんなとき、いやあ、こういうのをエントロピー増大の法則というんだね、とか要らないことを言って、焦ってずり落ちた眼鏡をクイッと上げたりしてるんじゃないだろうか。今回はこれについて検証しよう。エントロピーは自然の根本に関係しているらしい。教科書にそう書いてある。きちっと整理された状態より、ぐちゃぐちゃのバラバラの方がエントロピーが大きい、などということもある。また、温度とかなり密接に関係している(もしくは、温度をエントロピーとエネルギーで定義することができる)。温度が高いとエントロピーは大きくなる。温度が低いとエントロピーは下がる。水をガスコンロで涌かすと、しまいには水蒸気になってしまう。水蒸気は、水よりもずっと広い範囲をあちこち動き回ることができる。つまりエントロピーが大きい。不思議なことに、水より水蒸気の方がエネルギー的にはずいぶん不安定であるにもかかわらず、エントロピーが大きくなる方を優先するのだ。もう結論が見えただろうか。部屋がちらかっているというのは、家庭内ではかなり不安定な状態であるにもかかわらず、それをアナタは優先するわけである。まったく不思議なことである。