自由研究

以前にも書いたが(2009年1月7日)、光も電波も同じ電磁波に分類される。アンテナで電波をキャッチできるとすれば、同じような仕組みで、光もうまくとらえることができるはずだ。昆虫には、そのようにして光をうまく操っているものがいる。独特の光沢(もしくは金属光沢)を持ったカナブンなんかは、身近な代表例である。世の中に溢れている色は、普通は太陽の光を吸収し、残りの吸収しなかった分が反射して人間の目に入る。青い色は、青い色以外を吸収するから青く見える(補色という)。黒は、目に見える光をみんな吸収するから黒いし、光をたくさん吸うので熱くなる。一方、金属光沢の昆虫の色はちょっと違う。体の表面に、透明な膜や、透明な突起物を、光の波の長さ(波長という)程度で重ねあわせたり、並べたりしているだけだ。鏡のように光をそのまま反射するのに、ある色だけアッチコッチにはじき飛ばすので、その補色が、まるで金属に薄く色を塗ったような感じで見えてしまう。アンテナと同じように、光がこの程度の長さの構造に敏感だから起こる。
同じような原理が携帯電話の表面にも使われている。普通、光はガラスの表面で4%程度反射してしまう。ガラスを何枚も重ねあわせると、4%の積み重ねで最後にはほとんど向こうが見えなくなってしまうはずだ。液晶画面では4%でも十分邪魔である。液晶画面を照らす機械内部の蛍光灯(もしくは発光ダイオード)よりも、外の太陽の方が何倍も何十倍も明るいということもありうる。その場合、液晶画面が見えにくくなってしまう。なんとかして、表面反射を少なくしたい。そのために作られた膜を反射防止膜という。屈折率を考慮して、光の波長の半分の暑さの膜を作る。そうすると、その膜に入っていく光と、反射して出てくる光が丁度打ち消し合う。このようにして、画面の表面の反射を抑えることができる。突起物を応用しても同様の効果のものを作ることができるはずだ。しかし、光でその応用例を聞いたことがない。さて、なぜでしょうか?