高校物理で、いまいちピンとこなかったもののゼッケンナンバー5番くらいに、運動量保存則、というのがある。ロケットの飛ぶ原理に使われているやつだ。重さをm、速さをvとしたときに、運動量pはp=mvで表される。全体の運動量はずっと変わらないという法則である。左から重い車、右から軽い自転車が走って来たとき、車が10倍重くて、速度が50キロだと、自転車が500キロのスピードでぶつからないと車は止まらない、ということを教えてくれる。自転車が50キロで走っていてぶつかったとしても、車のスピードが衝突で10キロ落ちたとしても、自転車は反対に50キロのスピードで吹っ飛ばされてしまう。
こういう衝突は、車と自転車の重さの中心(重心という)が一直線に並んでいて、その線の上を、車や自転車を走っているということが暗黙の了解である。重心が、線からずれていると、衝突の衝撃はずれたぶん横に逃げる。友人が自転車に乗っていて、車と正面衝突した。自転車に乗っている人間の地面からの高さが、幸い車のバンパーよりも高かった(バスとかトラックだったらヒサンである)。友人は車とまっすぐ衝突しなかったので、放り投げられるかたちになった。つまり衝撃が上に逃げた。これは重心がずれていたからだ。そのかわり、自転車はクシャクシャになりましたとさ。